INSPECTION

プロの目による構造物の“今”を診断します。

一般的に木造施設の耐用年数は約10年と言われています。しかし、その構造物が設置された場所の気候や土壌など状況により大きく影響を受けることがあります。湿度の高い場所で天然木材を使用した場合は短期間で腐朽する確率が高く、乾燥や長時間日光に曝される場合にはひび割れやささくれ、湾曲などの見た目の変化が表れます。木橋やデッキ、木造などは一見すると、異常の無いように見える構造物も内部では酷く劣化している可能性があります。
ラスコジャパンでは、応力波速度測定器を用いて、木材の腐朽状況を数値化し、数多くの実績から蓄積された経験を基に総合的な腐朽診断を行ないます。(「木橋診断士」有資格者10名、「公園施設製品整備技士」有資格者2名が在籍しています。)

点検方法

木材の点検には、目視・触診・打診等の特殊な工具を必要としない「定性的な点検」と含水率・応力波伝播速度・穿孔スラストを必要とする「定量的な点検」の2種類があります。
必要に応じて、適切な検査方法を選択し、実行します。主に、水際や地際、部材が接面する部分を中心に検査します。

点検方法の種類

  • 目視

    材色の変化や菌糸、子実体(きのこ)の有無、蟻害の兆候の有無、材表面の変色状態、部材のたわみ、割裂、めり込み、変形等を目視により観察します。

  • 打診

    健全な部分と腐朽している部分をハンマーで叩き、音を聴き比べることにより、腐朽の有無を判断します。

  • 触診

    材の表面を千枚通しなどを用いて突き刺し、その抵抗から腐朽の有無を判断します。

  • 応力波伝播速度

    ハンディタイプの応力波速度測定器で応力波の伝播時間を測定します。健全材の場合は、伝播速度が速く、腐朽箇所がある部材では伝播速度が遅くなります。

  • 含水率

    ポータブル含水率計により、木材の含水率を測定します。腐朽している部位については、その部分の含水率が高いことが多いので腐朽の可能性をある程度判断することができます。

  • 穿孔スラスト

    Φ3.0㎜程度のドリルで部材を穿孔し、そのトルク抵抗により木材内部の状況を診断します。健全部ではトルク抵抗が大きく、腐朽部分あるいは蟻害などの脆弱ないし空洞部分ではトルク抵抗の反力が小さくなります。

改修方法

木製施設の維持管理において、木材の腐朽度を点検業務で確認することにより、最適な改修を 行なうことができます。
点検で床板だけ傷んでいる場合は、床板のみ張り替えるプランをご提案し、施設全体に傷みが ある場合は全面改修のプランをご提案します。全面改修においては、耐候性のある長寿命化素 材を取り入れて長くお使いいただけるようご提案しています。

改修事例

点検作業時

全面改修後

CASE 1

十和田八幡平国立公園 網張園路(岩手県岩手郡雫石町)

既設木道と階段の点検後に、木材の腐朽により全面改修が必要と判断され、再整備が行なわれました。基礎は、人力施工が可能で自然環境に負担が少ない「ピンファウンデーション工法」を、構造材には長寿命化素材である「GRP(ガラス繊維強化プラスチック)」が採用されました。長寿命化を図りながら、床板と高欄は杉材を用いることにより、風景になじむ施設に仕上がっています。

規  模|
木道 幅員2.0m×長さ約170m
階段 幅員3.0m×長さ約35m
使用材料|
構造材-GRP
床 板-杉材
高欄柱-杉材
基 礎-ピンファウンデーション工法

点検作業時

全面改修後

CASE 2

世界遺産 醍醐寺木橋(京都府京都市)

元は、檜造りの本格的な和風木橋でしたが、腐朽により劣化が進行し ていました。新たに施工するにあたって、桁・橋脚部分は芯材に鋼材を 使い、木部はより耐久性のあるイロコを採用しています。また、橋脚の 基礎にはピンファウンデーション工法が使われています。見た目は昔な がらの趣がありますが、中身は現代風にリニューアルされています。

規  模|
幅員2.08m×橋長10.2m
使用材料|
構造材-鋼材
床 板-イロコ材
高欄柱-イロコ材
基 礎-ピンファウンデーション工法

点検作業時

全面改修後

CASE 3

家棟川ビオトープ(滋賀県野洲市)

滋賀県の琵琶湖湖畔に位置する家棟川ビオトープ内の遊歩道が腐朽 により使用困難になったので、架け替えが計画されました。水を抜いて しまうのは好ましくない環境なので、水中においても基礎工事が可能 な「ピンファウンデーション基礎工法」が採用されています。 また、湿気が多く木材が腐朽しやすい環境なので耐久性の高い材で改 修しています。

規  模|
幅員1.5m×長さ22.0m
使用材料|
構造材-アルミ合金
床 板-再生木材
高欄柱-再生木材
基 礎-ピンファウンデーション工法

点検作業時

全面改修後

CASE 4

大仏山公園吊橋(三重県多気郡明和町)

1994年に大仏山公園スポーツセンター内に設置された吊橋です。かな り年数が経っており、床板は灰色化しています。部分的に内部が虫やカ ビなどによって軟化したり、割れが生じたりしていました。その部分の ボルトを丁寧に取りはずし、桁部分の状態を確認しながら、新しい材と 交換いたしました。

規  模|
幅員2.5m×橋長30.0m
使用材料|
床 板-ボンゴシ材

点検調査から改修まで

合格

そのままお使いいただけますが、定期的な日常点検と1年に一度、専門技術者による点検をおすすめします

不合格

状態により、架け替えや一部取替、撤去など対応のご報告をいたします。このままでのご利用はおすすめできませんので、早急に使用停止し、対応お願いします。弊社では設置環境に合わせた高耐久性素材を利用した新たな橋梁をご提案をしています。